それ、労災に該当するかもよ?
- 2018.11.22
- 労働関係法規

どうもこんにちわ、INAZOOです。
みなさん、刑事ドラマ等でよくこんなセリフを目にしませんか?
「これ、労災下ります?」
こんな感じで『労災』という仕組みが存在することは知っていても、どういった補償がされるのか、また、どんな時に補償がされるのかといった具体的な話を知っている方って少ないのではないでしょうか?
思いっきりざっくり言うと、業務や通勤に起因した災害が起きて、怪我をしたり、会社を休むことになったり、長期療養が必要になったり、結果的には障害を残してしまったり、最悪の場合、死亡してしまった場合等々・・・
それはもう結構な手厚さで国から給付が下ります。
さて、具体的に見ていきましょう。
労災保険とは
皆が知っている労災とか労災保険というのは、正式名称「労働災害補償保険」のことを指します。では、実際にはどういったもので、何を目的にした保険なのかを紹介していきます。こういう場合、基本的には対象となる保険給付を規定している法律の目的条文(最初の文言)にその主旨・目的が記されています。
そして、労災保険を規定しているのが、その名の通り「労働災害補償保険法」になります。
労働者災害補償保険法
第一章 総則
第一条 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
大方の予想通り、業務上の事由あるいは通勤による事由で、労働者が負傷、疾病、傷害、死亡等にみまわれた時に、労働者自身や遺族などに給付が下りる、ということですね。
とりあえず、怪我の治療費等が出るのかなぁ・・・くらいで思っていた人からしたら、だいぶ出るんやなぁって感じかと思います。
そんな手厚い補償、
誰が負担するん!?
そうですよね、怪我だけならまだしも、障害が残ってしまったり、死亡した場合となると、長期に渡る補償が必要になってきますので、これが自分の会社が負担したり、労働者自らが保険料をせっせと払って備えているというのも何だか非現実的ですよね。
ということで、労災の管掌は「政府」なのです。つまり、国が補償してくれるわけです。
なぜならば、守るべきは何を差し置いても労働者なわけですので、労働災害が発生した際に、すぐに保険給付ができないと、労働者に不利益が生じてしまいます。また、「すぐに補償せいっ!」と言われても、大企業等であれば未だしも、中小零細企業なんかには補償なんてできないわけですよ、いくら義務と言われても。お金がない人に補償しろっって言うのも酷な話です。
だからこそ、国が補償してくれるわけです。しかも、迅速かつ公正に。国も労働者の有事の際に迅速かつ公正な保護をするためにも、その他の社会保険同様に日頃から保険料を徴収して、給付に充てるべき財源を確保しないといけません。では、誰が保険料を払うのか?
それが、僕ら労働者ではなく、事業主(要は会社)なのです。しかも、事業主だけが保険料納付義務があります。
つまり、労働者目線で言えば、労災の適用を受けている事業所(だいたいが適用されてます)であれば、入社した段階で何も気にすることなくその保険の恩恵を受けることができるわけです。重複しますが労働者は一銭も保険料を払いません。
労働災害とは
目的条文にも記載されていましたが、労災における災害は、大きく次の二つに分類できます。この二つの災害に該当すると、労災からの給付が下りることになります。まずは、それぞれの災害の定義について触れます。
業務災害
業務災害というのは、その名の通り、業務上の事由による災害です。
しかし、「業務上」と言っても冒頭の刑事ドラマのように、「これって労災下りる?」=「これって業務(通勤)災害?」という疑問が浮かんでくるはずです。つまり、業務上と言ってもその災害の因果関係みたいなものは実に多様なものであり、一方では業務災害で他方では業務災害ではない、といった具合にその解釈が定まりづらいものなわけです。
そこで一般的に用いられる認定基準が、業務と災害との間に相当因果関係があるのかというものです。ただの因果関係ではありません。相当な因果関係です。そして、この相当因果関係を根拠づける要素が、『業務遂行性』と『業務起因性』です。
通勤災害
一方、通勤災害というのは、正に通勤上で発生する災害です。
しかし、会社帰りに呑みに行ったり、道草食ったり等、通勤の中には様々な逸脱要素もあります。そういった場合に、通勤と認定するのか否か、この辺が通勤災害の認定上争点になる部分です。
通勤の定義
通勤災害を認定する上で、そもそも、通勤とは何かという点、基準が大切になります。具体的には、労働者が就業に際し、移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くと定義されています。
給付について
労災の給付について、どんなものがあるのかと考える際には、冒頭の目的条文に振り返ると端的に表現されています。具体的には、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等になります。それではそれぞれ給付内容を見ていきます。
尚、いずれの給付も(括弧内)で❝補償❞の文言がありますが、これは、業務災害であれば療養補償給付、通勤災害であれば療法給付といった具合に(括弧内)の文言のありやなしやが異なります。今回はややこしいので、基本は業務災害ベースで説明していきますね。
療養(補償)給付
療養(補償)給付が最もスタンダードな労災の給付といっても過言ではないでしょう。つまり、健康保険で言うところの療養の給付。つまり、業務上あるいは通勤が原因で発症した病気やケガの治療や投薬等の費用について支給を受けることができるということですね。
勿論、労働災害なので自己負担はありません。労災が全額負担します。主な給付内容は次の通りです。
- 診察
- 薬剤または治療材料の支給
- 処置、手術その他の治療
- 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
- 病院または診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
- 移送費
まぁ・・・一般的な治療であればどれも該当しますね。無論、これらは現物給付です。つまり、治療などのサービスをもって支給をされるものですね。したがって、具体的にいくらといった給付額はありません。
尚、一点補足ですが、労災に関する給付を受けることができるのは、「指定病院等」という労災取扱い病院でないと給付を受けることはできません。とはいえ、近くに指定病院等がなくて緊急を要していたために普通の病院で診察を受けた、という場合も事後的に療養の費用として支給されます。
休業(補償)給付
次に、休業(補償)給付です。これは、業務または通勤が原因で怪我をした際に、療養のため労働をすることができず、かつ、賃金を受けられない日につき支給されます。但し、4日目からの支給になります。
4日目というのは、3日間は待機期間があるという意味です。尚、待機期間は労災の給付がされないので、3日間は事業主がその休業期間の生活保障をしないといけません。
さて気になる給付額ですが、シンプルに次の通りです。
(給付基礎日額 × 60%) × 休業日数
※給付基礎日額とは、労基法でいうところの平均賃金に該当するものです。厳密に言うと、直近3カ月間に受けた賃金(ボーナス等は除く)をその暦日で数で割った値になります。
傷病補償年金
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障害補償給付
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介護補償給付
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遺族補償給付
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葬祭料
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会社が労災未加入だった場合
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