法人新規開拓営業は楽しんだら勝ち。
- 2019.04.19
- ビジネス

先日、後輩の新規開拓訪問に同行し、久しぶりに営業の醍醐味に触れました。
この分野でどうやって結果を出すのか、むしろ法人新規開拓営業をどうやって楽しむべきか、といった点を自分の経験も踏まえて紹介していきます。
営業きっつ。。
↑ こんな人向けの記事ですよ。
苦手意識を除く、新規開拓営業における発想の転換
文系学生であれば一度は経験した方が良い、あるいは、高確率で配属される部署が・・・法人営業部門です。いわゆるto Bセールスですね。
そして、良心的な企業であればあるほどに、まずは既存顧客を・・・って流れになる傾向が強いのですが、ベンチャーやスタートアップ、あるいは上場企業でも営業の強い組織等々、いきなり新規開拓を命じられることも多分にあります。
私も営業配属で、配属後程なくして法人新規開拓に勤しみました。
「新規開拓営業・・・」このフレーズが少々ブラックに感じるのは私だけでしょうか?おそらく現在の新卒社会人の方も同じかもしれませんね。
相当きつかった・・・。
しかし、新規開拓営業はやり方によっては相当楽しめる分野ですし、コツを掴めば同期の中でも一つ抜きん出ることも可能です。つまり、一攫千金的部門、それが新規開拓営業です。
何故一攫千金なのか、それは単純です。
企業からしてみれば、新規顧客の数字が上がるということは、今まで見込みを立てていた売上とは別の数字が立つことを指します。それは単純に嬉しい誤算にも思えますが、誤算というよりかは、新規顧客はその企業の継続的な成長の源泉になるものだからなのです。
もう少し詳しく話をします。
営業部門であれば何処も同じですが、前年度の達成値と現時点での1年間の売上見込みから数的計画を立て、日々の営業が始まります。つまり目標ありきだということです。そして、良い営業であればあるほどに、目標通りの数字でその年を終えます。
それは、多すぎず、少なすぎずということです。つまり、当初の目論見よりも過剰に多い場合でも、そこまで評価の対象にはならないということです。あくまで読み通り、計画通りに達成できたかが重要な指標です。これはあくまで企業が経営を安定稼働させるための動きなのです。
当然のことながら、企業は年々成長を続けていかないといけない仕組みになっています。そのために必要な要素が新規の売上です。
つまり、嬉しい誤算を意味する一攫千金ではなく、次の年、そのまた次の年において新たに売上ポテンシャルとして数字を積むことができること、この事実が一攫千金に値する、大きな評価に値することなのです。
次の年度において、今年よりも多い数字を“見込む”ことができること、これが新規営業の価値なのです。
話は戻りますが結局、新規顧客を獲得するということは、自社の成長の源泉を担うということですよね。考え方をこのように変えたらこんなエキサイティングな仕事はないですよね。一躍ヒーローなわけですよ。
2社目だった。
まずは、新規営業=キツいという先入観を取り外すことが大切です。
そして、今からやろうとすることは、決してその年の目標数字を達成することだけが目標ではないのです。
※勿論、その年の目標も大事ですが・・・。
新規顧客リストを作る
では早速、新規開拓営業の始まりです。
まずは、基本的なことですがアタックリストを作成することをお勧めします。といってもこんなこと敢えて言わずともほとんどの方がリストを作成するのではないでしょうか。
あるいは、エクセルやスプレッドシートで作らなくても、自社でセールスフォースのようなCRMを活用しており、そういったもので顧客管理をしているケースも大いにあるでしょう。
いずれにせよ、何かしらのリストにして可視化することは、その後の営業活動においても必須になってきます。
というのも、いきなりアポイントが取れて、そこで訪問して何か受注できるようなことは、ほとんどのケースであり得ません。
少額でも受注したらラッキーなくらいです。
そのために、以降の自分の顧客を“育てる”といったイメージが新規開拓営業には近いです。いずれにせよ、これから金のなる木になるであろう、あなたの新規顧客を管理する上でもこういったリストは必須だと思ってください。
顧客を育てるスタンスを取り始めると、こういったリストが日々のモチベーションにもなります。なんか友達リストのようで妙な達成感もあるもんです。すみません、承認欲求の塊で・・・。
また、すぐにアポイントが取れる前提で話を進めていますが、電話をかけてアポイントを取ること自体もいきなりだと相当難しいです。そのため、アポイントを取るまでのプロセスにおいても、リストを使って常にそのコールの質を高めていかなければなりません。
何か自信がなくなるようなことばかりを最初に話してしまって恐縮ですが、魔法の言葉のようなものは基本的には存在しないので、何回かは撃沈します。
そのため、アタックリストを作る際にもあまり深く考えないで作ることをお勧めします。
結局、実際にアタックしてみないと結果は分かりませんので。深く考えないということは、気負いもする必要はないということです。この企業は名前も知っているし、絶対に相手にしてくれるはずがない!なんて思わずに一点突破でチャレンジしてみてください。
そのくらいラフな気持ちで最初のアタックリストは作成します。
具体的には、業種、企業名、電話番号、メールアドレス、担当者名を基本情報として、さらにいつ・どんなアクションをしたのかも記録していきます。この記録を見ながら次のアクションを決めます。
ちなみに私は、電話した時の印象やアポを断られた場合も含めて、軽くメモを残していました。勿論その中には、電話越しに冷たくしてきた見ず知らずの企業担当者へのdisも含んでいます・・・。
どういった話をして断られたのか、どういった話や口調の際に先方が電話口で微妙に興味を示したのか、あるいは、自分の感覚でどういった話の始め方だとスムーズだったのか等こまめに記録し、トライ&エラーを繰り返してみてください。
一見するとハードに見えるこの作業ですが、電話の向こうにいる人は下手したらもう二度と関わりを持たない人です。失敗しても死にません。つまり横スクロールのアクションゲームと一緒です。死なないので、進み方を工夫したりして徐々に成果を出せばいいのです。
ちなみに、遊び感覚でアポイントの取得率も出してみると面白いです。というのも、何%という確率を上司に報告するためではなく、あくまで遊び感覚です。打率と一緒ですね。
自分でこう変えてみたら取得率が上がった・・・といった傾向が掴めてきたら面白いじゃないですか?
いずれにせよ、アポイントを取得する過程や訪問をした状況などを簡単に纏めておくと、後々も便利です。必ず実践しましょう。
たった一つのネタを用意する
さて、早速鬼門たるテレアポの準備を進めていきます。
そこで割と勝率の高い方法を紹介します。それが、電話越しでちらつかせる商材は一つに絞るというものです。
また、抽象的な紹介よりは具体的でイメージのし易いキーワードを用意することも重要です。いわゆるパンチラインですね。決定的なフレーズを考えます。
ついつい初めてかける相手であり、自社のことを知らない相手故に、あれこれ多くを伝えて信頼してもらおうとしがちですが、それは逆効果です。
相手も電話越しですし、ましてや忙しい状況かもしれません。いずれにせよ、一撃でその気にさせることができるような商材や紹介を用意しておくことをお勧めします。
これはあくまで商材だけでなく、例えば超大手企業(ネームバリューのある企業)の子会社であったり、資本提供を受けているといったフレーズも効果的です。つまり、電話越しに興味を持ってもらえることが重要なのです。それは自社商品に限った話ではありません。
したがって、有名なサービスもなければ・どこかの資本を受けているわけでもない・・・なんて状況だとしてもじっくり自分たちの強みや推しポイントを見極め、一撃で仕留めるキーワードを考えてみてください。
このキーワードは何回かテレアポをしながら改善していくことで出来上がる可能性も多分にあります。
そして、だいたい電話に慣れていたり、なまじ学生時代に電話応対をするようなバイトをしていたがために無駄に自信を持っている奴が失敗して、全然アポイントが取れないケースがこれですね。
要は、余計なことばっかり話して、胡散臭いわけです。
とにかく、自社の事業内容やら商品ラインナップなんてものは口頭で伝わるものでもないので、アポイントを取る際には、一つに絞ってチャレンジしてみてください。
企業研究を入念に
続いて、晴れてアポイントが取れて、訪問するまでの前段階の話に移ります。
これはとても重要ですが、やはり相手のことを入念に調査してから行くべきです。つまり、無暗やたらに営業しにきたわけではなく、ちゃんと御社の役に立ちますぜ?ということを理解してもらわないといけません。
そのために、顧客先にとってのどういった課題(これはあくまで仮説)を、自社あるいは自分で解決することができるのか、といったプランを予め立てておくことが大切なのです。
これは人間関係や就活においても同様ですよね。相手のことをある程度理解してからやりとりをする、鉄則です。
苦労してアポイントが取れたのであれば、それは正に千載一遇のチャンスであり、もう二度と時間をもらえないかもしれない。そのくらい貴重な時間です。
就活はあくまで採用という名目で時間を作ってもらえていますが、こと新規訪問先とのアポイントはこの構図が成り立たず、全く真っ白な関係からのスタートです。そのために、手に入れたチャンスは貴重なのです。
もう少し具体的に調査内容について触れると、上場企業であれば有報等のIR情報、それが無ければSNS等で同社の社員や社長が情報発信をしていないか、その辺まで調査してみてください。
もうストーカーなんじゃないかってくらいでも全然大丈夫です。これは男女の関係ではなく、ビジネスなので、ストーカーくらい追っかけまわしてもらえるパートナーは逆にありがたいものです。
このような調査を通して、新規訪問先がどういった事業に注力をしていて、どういったモノの考え方・アイデンティティを持っているのか、それに対してどういった提案ができるのかを熟考することがパートナーシップの始まりです。
例えば、固定資産をどんどん償却していき、資産を持たない経営にシフトしつつある企業に対して、サーバやネットワーク機器などの物理的なものを売っても方針から逆行しますよね。ちょっとSIerに寄り過ぎた例ですが、他の業界においても同様です。
コートが欲しい人に、水着を売るバカはいませんよね?これと同じ論理です。
これもある種ゲームに近い感覚ですね、忘れてはいけません、新規開拓営業は壮大なゲームです。
お土産を用意する
次に、実際に初めて新規顧客に訪問する時の対策です。
それは、お土産を用意すること。
菓子折を用意するということではありません。今の時代モノなんて持ってこようモノなら逆に嫌煙されます。
ここでいうお土産は勿論、情報です。
先のパラグラフで紹介した通り、たった一つのキーワードをフックにアポイントが取れたのであれば、当然その話がメインディッシュになりますが、メインディッシュだけのコースなんて・・・なんか味気ないですよね。
これは新規開拓営業においても同様です。美味しい思いをしてもらえれば、次もお客様になってくれる、変な言い方ですが・・・また食べたくなるわけですよね。
では、お土産たる情報とは何か、について解説します。
それは、訪問先と自分の共通点や関連性のようなものを見出し提供することです。
例えば、顧客企業の発祥の地と自分の出身地が一緒とか、昔から顧客先の商品のファンだとか・・・基本的には何だって大丈夫です。※あまりでっち上げすぎると胡散臭いのでご注意を。
これは、一般的にアイスブレイクなんて言われることがありますが、最近ですとアイスブレイクすら煩わしく感じる顧客も多いです。そのため、雑談というニュアンスではなく、メインディッシュたる商談に添えるものとして、この手のお土産を準備していきます。
つまり、商談の間に挟む話という意味合いが強いです。真面目な話の中にそんな身の上話を入れるのはどうなのか?と思われるかもしれませんが、相手が身近だと思う瞬間に併せて聞いた情報の方が、警戒している際に聞く情報よりもずっと記憶に残ります。
これは、やがて自分のお決まりのパターンにもなります。つまり、あなたのお決まりのお土産。これは実生活でもよくある話ですよね。お世話になっている人に挨拶に行く際に持っていくレベルのお土産は○○のカステラと決めている、といった類の話です。
これはこと新規開拓営業においても同様です。雑談ではなく、顧客と自分の繋がりを言葉にする、これだけでいいのです。メインディッシュを更に美味しく食べるためのお土産だと思ってください。
逆に、このお土産は打ち合わせ後に出しても構いません。つまり、「実は○○」といった具合に顧客先と自分の繋がりを表現することで、一気にそれまでの話をプラスに転じさせることもできます。
特に大変なことではないので、ぜひ試してみてください。面白いくらいに顧客との距離も縮まります。
何度も言います、失敗しても死にはしないので。
しつこくしない、待つの。
結果がどうであれ、無事に新規訪問を終えた際には、宿題をもらったのであれば迅速に対応することが肝です。
最初の依頼は特に記憶に残るものです、最優先で処理して、特に注力することをお勧めします。
往々にして、新規訪問して何か宿題をもらえるケースというのは、顧客も既存のパートナーや取引先に何かしらの不満や物足りなさを感じていることに起因していることがほとんどです。
そのため、新規は特にレスポンスを重視してください。これは信用に足るパートナーかどうかの判断基準として最もポピュラーな指標です。
そして、宿題を返すにしても宿題がないにしても、一段落をした際には一旦待つことも戦術です。
つまり、五月雨式に商材を紹介して、ここぞとばかりに営業をしても十中八九・・・上手くいきません。優秀な営業は、必要な時に音もなく表れます。つまり、押し過ぎずに相手が必要であろうタイミングで営業をかけることも大切だということです。
人の気持ちが分かること、これが営業の鉄則です。それは人の気持ちに限らず、ビジネスの行方や社会的課題に対しても同様です。
例えば、セキュリティに関する世間の意識が集中している際にはセキュリティ商材を、あるSNSの話題が沸騰している際には、そのSNSに出稿するという話を、といった具合に時流や世間のニーズに合わせて折を見るというスキルも大切です。
戦略的に待つ、これは新規開拓訪問後の鉄則です。
この際にも、先にお勧めしたリストによる管理を徹底し、どのくらいの期間を置くのか、次は前回と違う商材を持参するのか等、戦略を練ってみるといいでしょう。
一喜一憂しない、死にはしないという考え
以上のように色々と新規開拓営業におけるコツと楽しみ方を紹介してきましたが、これはあくまで一例に過ぎません。
何度もトライ&エラーを繰り返していると、いつしか自分だけの型が出来上がってきます。
型ができてくると案外うまく回り始めるものです。すぐに結果がでなくても腐らず継続してみてください。その際にも、しっかり結果の検証と改善を繰り返すことが重要です。
何度も言いましたが、新規営業で大切な気持ちは楽しむことです。結果が出ないこと、アポが取れないことを憂いてはいけません。上司に怒られても気にしなくて大丈夫です。
どんなにアポが取れずとも、どんなに数字にならなくても死にはしません。それだけでだいぶ強気になれるはずです。
非力ではありますが、これらの情報が読者の方の営業活動の一助になり、あるいは辛い営業活動の一筋の光になってもらえれば幸いです。
それでは、また。
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