離婚時には年金分割できまっせ。
- 2018.08.13
- 社会保険

どうもこんにちわ、結局、まじめなブロガーのINAZOOです~。
夫がバリバリ稼いでいて、専業主婦をしている。あるいは共働きだけど時短勤務で、そんな稼げていない・・・
そんな奥様、離婚を考えていたらご一読ください。今は離婚なんて当たり前の時代です。
今時、その気になれば、人生なんて何度でもやり直すことができます、結婚生活や専業主婦をしていた期間を、できる限り無駄にすることなく、夫や家事などに犠牲を払ってきた時間を取り戻した上で、自由になれたら最高ですよね?
離婚を推奨しているものではありません。離婚時分割という厚生年金における制度の説明・理解促進を目的としております。
それでは改めて・・・
「離婚時にはブン取ろう、年金額。」

そもそも、年金をブン取るとは?
まず、大前提として、みなさまご存知でしょうか?
厚生年金の保険給付を受ける権利は、原則、譲渡、担保、差押が禁止されています(例外有り)。そのため、夫婦が離婚等をした場合は、財産分与の対象とはならないものでした。
その後、平成16年に法律改正があり、平成19年4月以後の離婚等を対象として、年金の分割が可能になりました。
後ほど簡単に触れますが、厚生年金は、高い給料をもらっている方が、高い保険料を払っていることになり、その分老後にもらえる年金額も多い、ということになります。そのため、サラリーマンとして働き続けていた夫と、元々働いていたけど、出産を機に離職していたり・時短勤務をしていた妻とでは、もらえる年金額の記録上の不平等が生じてしまいます。
要するに、婚姻期間の保険料は、いくら夫が働いてもらった給料だとはいえ、「二人で力を合わせて払ったもの」、「夫に記録が偏るのは不平等」といった考え方が社会一般的に認められたということですね。
具体的な措置としては、婚姻期間中に生じたいわゆる不平等な厚生年金記録を分割することができます。
尚、年金系の話でいうところの、婚姻関係はだいたい事実婚でもOKなんですよね、ということで、離婚時の年金分割も事実婚同士でも問題ありません。
ちなみに、分割する対象を厳密に記述すると、かなり込み入った内容になるので、
シンプルに表現すると、
将来もらえる年金の計算基準になる値をブン取れると定義します。次の図を見てみてください。

現在の年金制度では、国民年金の保険料からなる老齢基礎年金と、厚生年金の保険料からなる老齢厚生年金の2階建て式で年金額が決まります(図2参照)。今回については、この2階部分にあたる、「老齢厚生年金」についての話です。(既にややこしいっすね;;)

【引用元】厚生労働省 「いっしょに検証! 公的年金~財政検証結果から読み解く年金の将来~」
老齢厚生年金については、(図1)のように、平均標準報酬額(もらってた月給と賞与の平均額)と被保険者であった期間(月数)を掛け算して出た額に給付乗率(平成15年4月以降は5.481 / 1,000)を乗じて得た額が年金額になります。
いわゆる、縦 × 横って感じですね、緑文字の部分とオレンジ文字部分の積がその値になります。
これからお話しする、「ブン取る」部分については、まさに(図1)で赤い点線にしている箇所で、この厚生年金の額を算出するのに使う値をブン取る、といったイメージになります。
具体的には、緑色にしている箇所、「標準報酬額」の値を、合意をした割合や一定の割合でブン取るわけです。
まぁ考えてみれば、その通りですよね。
夫も一人で働き続けて稼いでこれたわけでもないでしょう・・・
例えば、家事や子育てをしてくれていた妻がいたからこそ、今があるのでしょう。いわゆる、内助の功ってやつですね。
あるいは、共働きでしたが、子供が生まれてからは時短で勤務していたなど・・・女性が子育てや家庭のために自己犠牲を払うケースって多いですよね。
忘れてはいけません、僕らは妻の様々な小さな犠牲の元に、生かされている。ということを・・・。
現在は、共働きが割と当たり前な世の中ですし、女性がワンオペで家事や育児をするという風潮も変わりつつありますよね。そのため、逆に、分割って必要なのかなぁ・・・と思われるケースも多々あります。
ということで、この離婚時の年金分割は大きく次のようなケースの夫婦に当てはまることになります。
- 夫婦共働きの時期がある
- 婚姻期間中ずっと、夫がリーマン、妻が専業主婦
さらに、この二つのパターンは、前者が夫婦(元夫婦)の合意が必要であり、後者においては合意不要といった特徴もあります。
前者に関しては、何割分割するかを話し合いで決め、後者の場合は、有無をも言わさずに折半、みたいな感じですね。
さて、その辺も詳しく見ていきましょう!
夫婦が共働きの場合

夫婦が共働きの場合(妻が一時専業主婦であった場合も含む)の分割方法を、合意分割といいます。要件は次のいずれかに該当することです。
要件
- 当事者が標準報酬の改定または決定の請求(標準報酬改定請求という)をすること及び請求すべき按分割合について、合意しているとき。
- 家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき。
要するに、年金額を決定付ける値である、標準報酬をブン取るにも請求をしないとできません。離婚したら自動で分割されるわけではないってことです。ですので、夫婦で話し合いの上で合意している場合、家裁で調停にまで持ち込んだ場合、いずれの経緯であろうと、双方に“合意”した按分割合であること、これが要件となります。
また、このブン取り請求(標準報酬改定請求)は、平成19年4月1以降に離婚等をした場合に限り行うことができます。但し、同年3月以前の婚姻等していた期間についても、ブン取る対象となります。
期限
離婚等をしたときから、2年を経過したときは標準報酬改定請求ができません(離婚が成立した日等の翌日から起算)。
請求の手順
STEP 1 相手を知りましょう
「情報提供請求書を提出」
戦いの前・・・いや、分割請求には事前調査は必要不可欠です。まずは、お近くの年金事務所で情報請求の手続きをし、情報通知書をGETします。通知書には、夫婦それぞれにおける、厚生年金や共済年金の納付記録(婚姻中の標準報酬総額)が記載されています。
ちなみにこれは、年金事務所の窓口での交付にすれば、離婚前にサイレントでも確認ができちゃいます・・・(ご離婚は計画的に。)
「ウチの旦那・・・なんぼ程、稼いどったんやぁ!!!!」ってな感じ。
このように、相手方の年金額を把握して、分割に値するのかどうかを事前に判断することができます。この辺の情報を得た上で、具体的な合意分割のイメージを次のように図解します。

ここで夫と妻の上に、1号、2号と振っていますが、これは、婚姻期間中の標準報酬総額が多い方を1号とし、少ない方を2号としています。
当然のことながら、標準報酬総額の多い方からブン取るという制度ですので、1号がブン取られて、2号がブン取った分を上乗せして年金額とすることができる、ということになります。
先にも説明した通り、もし離婚前に1人で情報通知書を請求した場合、自分が第1号改定者だと知った時点で、年金分割を考え直すことも可能です。だって、自分がブン取られるのは避けたいですよね。逆に、当初の想定通り、自分が第2号改定者であれば、もう迷わず年金分割しちゃいましょう!
STEP 2 按分割合を知りましょう
「MAX50%の割合」
按分割合については、夫婦で合意の上でも、裁判による按分決定でも、MAX50%の割合と決まっています。
ちなみに・・・裁判をしても、現在のところ9割のケースが50%の割合に決定してます。
また、分割後は、第2号改定者(年金額の少ない方)の標準報酬総額を超えることが原則なので、妻からしてみれば、分割前よりも減少することはありえませんので安心ください。
なんだ、結局半々かいな。
双方の話し合いで決着が付かない場合は、半々の50%で文句ないでしょ!?ってことなんですかね。
但し、夫が「嫁は世間知らずだからぁ・・ww」みたいなスタンスで20%だの、30%だのと按分割合を打診してくるようなら、ガッツリ戦ってやりましょう!! MAXは50%ですからね!
離婚時みなし被保険者期間
ちなみに、合意分割によって得た標準報酬額は、専業主婦をしていた妻からしてみれば、いわばフィクションですよね。
つまり、自分で稼いだわけじゃないのに、合意した按分に応じてブン取った標準報酬額を得る、という状況になり、入れ物ともいえる期間がありません。
思い出してください、厚生年金額を決める「縦 × 横」における横の部分ですよね、被保険者期間は。(図4 参照) この期間がないと、ブン取った標準報酬額も乗じるものが無い状態になってしまいます。
この入れ物となる期間を、さもあったかのように「みなす」のが、離婚時みなし被保険者期間です。

尚、これはあくまで、「みなし」なので、この期間を以って、厚生年金の受給資格期間のカウントを行うことはありません。
つまり、この「みなし」期間のみの人が老齢厚生年金の受給権を得ることはできないということになります。分割してブン取った部分は、あくまで、厚生年金の報酬比例部分の計算の基礎とする期間に算入します。
まぁ要は、現役で働いていたかのように年金額を算出することはできるようになるけど、その頑張り(報酬額)に応じて上下する年金額の増減には影響しても、受給権を手に入れるための要件にはしないよ、ってことですね。
婚姻期間中、ずっと専業主婦の場合
婚姻期間中にずっと専業主婦であった場合には、3号分割という方法で分割を行います。
ちなみに、3号っていうのは、国民年金において、いわゆるサラリーマンの妻であり、厚生年金保険被保険者の配偶者は、3号被保険者に分類されることから、この名前になっているわけです。
尚、この制度を適用できるのは、夫が被保険者であった期間と、妻が3号被保険者(つまり、被扶養配偶者であった期間)が平成20年4月1日以降である場合に限られます。
要件
基本的には、合意分割と同様の仕組みと捉えてもらって問題ないです。
異なる点は、双方の合意が必要なく、当然の如く、標準報酬改定請求を行うことができ、当然の如く、50%の割合で按分!!という点です。
強いて異なる点を挙げるのであれば、ブン取られる側を「特定被保険者」と呼び、ブン取る側を「被扶養配偶者」と呼ぶ等、各種の呼び方が多少異なります。ちなみに、この被扶養配偶者については、先にも説明した通り、国民年金の3号被保険者(専業主婦)でないといけません。

3号分割ができない場合
尚、次のような場合だと3号分割ができませんので、ご注意ください。
- 3号分割標準報酬改定請求をした日において、特定被保険者が特定期間(婚姻期間)の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者である場合
- 離婚が成立した日等の翌日から起算して2年を経過した場合
2については、合意分割と一緒ですよね、タイムリミットは2年ってやつ。そして、1についてですが、これはブン取られる方が、仮に障害厚生年金をもらうような障害をもつ方であったら、分割できませんよ!って話です。
それはそうですよね、あまりに酷です。
合意不要な要件のもと、妻が請求したら有無をも言わさずに50%の標準報酬額をブン取られてしまったら、障害を持っていながらも働いていた夫は、その分年金が減ってしまうことになります。これはかなり人の道から逸れますよね;;
被扶養配偶者みなし被保険者期間
これは、合意分割の時に説明した、離婚時みなし被保険者期間と同様に考えます。ぶっちゃけ、名前が違うだけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?、
説明してきた通り、離婚時の年金分割を行えば、これまで夫に捧げてきた時間を取り戻すが如く、その奉仕期間を、老後の蓄えの一助にすることができます。
また、今は離婚なんて考えていない方でも、家事をしていたり、仕事を辞めてしまった場合など、ふと思う時があるでしょう・・。
「私のこの時間って何になるの・・・」とか、「旦那ばっかりずるい・・・」と、
こう感じたことがある方であれば、これらの分割手段があると知っているだけで、かなり強気に生活できるのではないでしょうか?
尚、合意分割における相談や調停は、中々当事者のみで全て進めることは難しいかと思います。必要に応じて、お近くや知り合いの弁護士等に相談してみてください。
それでは、また。
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