安全衛生管理体制って何や!

安全衛生管理体制って何や!

 

どうもこんにちわ、INAZOOです。

 

本記事は、社会保険労務士試験受験生あるいは中小企業経営者の方以外には全く刺さらない内容となっております。一般の方が閲覧した場合眠くなること請け合いです。完全に著者の知識整理用の記事となっておりますので悪しからず。

 

我々労働者は、労働安全衛生法(以下、安衛法)という法律によって様々な労働災害から守られ、一定の予防線が貼られていることをご存知でしょうか?

 

まず、労働安全衛生法の目的条文から、この法律の趣旨を抑え、主題である安全衛生管理体制の理解に落としていきますね。

 

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労働安全衛生法 目的条文

(目的)

第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

 

このように安衛法は、労働基準法と相まって労働災害防止のための基準や責任体制などを明文化し、労働者の安全と健康、さらには快適な職場環境の形成を促しているわけですね。こういった予防線を貼った上で、それでも不幸にも労働災害が起きてしまったら、労基法の災害補償であったり、労働者災害補償保険法(以下、労災法)によって労働者の生活補償をしていく、といった構図になっています。

 

こう考えると、一つの法律を作ってまで予防線を貼り、労働者保護をしているとはかなり手厚い印象ですよね。この辺は知られていない部分だと思いますが、案外労働者って守られているわけです。とはいえ、労働者保護を建前だとすれば、膨らんでいく労災保険費を抑えるべくして予防策たる安衛法が存在する、といった構図が実情といったところでしょうか。

 

そして、この大枠たる目的条文の内、責任体制の明確化に該当するのが、『安全衛生管理体制』です。

 

安全衛生管理体制 ~全体像~

「安全衛生管理体制」と聞くと、読んで字のごとく、何かしらの体制のことなのでしょう。そしてどんな業界であれこの体制という言葉が出るからには、体制図を用いて全体像を掴むことがその理解を促進してくれます。ということで、ざっくり全体像を纏めました。

 

 

とまぁ、登場人物は上記の通りになります。ちなみにこの水色の大きなくくりが、一つの事業場という単位になります。常時10人以上50人未満の事業場の場合は、こちらと異なりますので別途後述しますね。

 

大きく分けると、事業主をトップに、安全や衛生面を統括する存在として、総括安全衛生管理者がおり、その下で手となり足となり実際に動くような存在として、安全管理者や衛生管理者がいます。また、この両技術的事項を担う管理者と密接に関連し、事業主に対して健康管理に関する勧告ができる存在が、産業医です。

 

近年この産業医というフレーズはよく耳にするのではないでしょうか。労働安全衛生法は元々は工業的業種に対する労働災害防止を目的として制定されたものですが、最近ですと、長時間労働や連日の深夜業務などにより、過労死や精神疾患を患う方も増えてきました。こういった事態も労働災害に該当し、また、未然に防いでいかないといかない事項として、産業医のプレゼンスも上がってきたと言えます。

 

さて、それでは一つずつの役割や、事業場での選任要件を中心に見ていきます。

 

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安全衛生管理体制 ~各論~

総括安全衛生管理者

概要

 

一定の規模以上の事業場で、事業を実質的に統括管理する者を「総括安全衛生管理者」として選任します。端的に言うと、手となり足となり動く安全管理者、衛生管理者を指揮して、労働者の労働災害リスクや健康障害リスク等を軽減、防止する業務の統括管理をしています。要は、これから説明する安全衛生管理体制の登場人物の統括です。

 

選任要件

 

選任要件は、業種とその規模によってボーダーが異なります。

 

この法律の趣旨に立ち返り、労働者の安全と健康を守るという観点で見れば、労働災害の危険性の高い業種においては、ボーダーを低めに設定し、例え小規模な事業場だとしても総括安全衛生管理者を選ばないといけないようにしてるのだと解釈できます。

 

 

また、総括安全衛生管理者については、常時1,000人以上を使用する大規模な事業場であれば、どんな業種であれ選任義務があります。

 

これも本当はどんな規模であれすべての業種において選任義務を負わせたいところでしょうが、実際に機能する規模感として、やはり少なくとも1,000人は必要よね、ってことでしょう。

 

覚え方としては、事業規模については「イザ、センニン!!」つまり、100人、300人、1,000人の頭を取って、このように覚えます。

 

そして、業種が厄介です。業種については、100人以上については『リン・コウ・ケン・ウン・セイソウ』・・・。って何かの呪文みたいな話ですが、何となく語呂がいいので、これで覚えます。よくよく考えてみると、林業だの鉱業だの、建設業だの運送業だの清掃業って何かキツそうっすよね。そういう意味で100人なのかなと、そのくらいで覚えます。

 

また、300人についてはもっと厄介ですね。これに関しては、リン・コウ・ケン・ウン・セイソウ以外でキツそうな業種って感じで覚えます。

 

製造業・・・きつそう。電気とかガスとか熱、水道、通信ってきつそう。だって地震とか台風があったら真っ先に出動しつつも、市民からdisられ、時には投石をされるような業種ですもんね。それはキツい。

 

各種商品卸売、小売は大丈夫じゃね?って思いますが、家具とか建具、什器なんかを扱うとなると結構リスクありそうですよね。デカいし。その他、旅館業やゴルフ場ってのは結構特殊なので何となく覚えられそうですね。自動車整備や機械修理なんてのも結構きつそうです。

 

とまぁ・・・結局この業種だと必要だから選任義務を与えているわけですから、応用の利くようにそんな感じで覚えておくといいかもしれませんね。

 

資格要件

その事業の実施を実質的統括管理する権限及び責任を有する者(工場長など)。この場合、特に資格や公的な研修を受けるような必要はありません。あくまで、上記のような実質統括管理する権限がある人であれば問題ないわけです。いわば、安全管理体制の頭脳みたいな感じですかね。

 

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安全管理者

概要

一定の業種及び規模の事業場ごとに「安全管理者」を選任し、その者に安全に係る技術的事項を管理させることとなっています。そして、この技術的事項というものが、先の総括安全衛生管理者の業務よりも具体的な事項であり、手となり足となりと表現した所以になります。

 

選任要件

選任要件については、先述した総括安全衛生管理者とは異なり、「その他の業種」という業種の余白がありません。つまり、労働災害の危険性の高い、一部の業種のみに選任義務があるということですね。要は、規模の如何を問わず危ない業務を行う場合のみ選任が必要ということです。

 

 

このように、安全管理者の選任要件自体は、シンプルなものです。先述したリン・コウ・ケン・ウン・セイソウとそれ以外の危険業種のみを対象として、常時50人以上を使用していれば選任義務がある、ということですね。

 

但し、選任義務のボーダーは単純ですが、総括安全衛生管理者の元、手となり足となり動く安全管理者や後述する衛生管理者については、一定要件に該当すると別途、『専任』義務も発生します。専任は、専ら任すと書くらいなので、ただ事業場内にいて選任されただけでは足りず、安全管理者としての業務を専ら行う(要はその業務で雇われている)ことが必要になってきます。

 

 

 

覚え方としては、事業場規模の部分を、「みごとに」と覚えます。み(300人)、ご(500人)、と(1,000人)、に(2,000)ですね。そしてやっぱり問題は業種の箇所ですね。ご覧の通りめちゃめちゃ細かいので大枠を掴む感じに留めます。

 

とはいえ、何となく、みごとにの「み」の部分に建設業があり、「と」の部分に造船業がある、くらいのレベルで抑えておきます。「に」の部分はそれ以外という位置づけですので。あとは、デスクとか部屋の壁に貼って、目に焼き付けておくような話ですね。

 

また、衛生管理者や産業医と異なる点が、専任義務こそあれど、人数までの指定はないということです。つまり義務規定がないということですね。あくまで人数等については事業規模に応じて“努める”というニュアンスです。

 

資格要件

安全衛生管理者については、総括安全衛生管理者とは異なり、技術的事項つまり具体的な措置を講ずる人なので、より専門的な知識や経験が必要です。そういった観点からざっくり次のような資格が必要となります。

 

① 理系大学卒業+2年以上実務経験

② 高校の理系の課程卒業+4年以上実務経験

③ 上記以外、大卒なら4年、高卒なら6年の産業安全実務経験など

④  労働安全コンサルタント

 

衛生管理者

概要

一定の規模及び業種の区分に応じ「衛生管理者」を選任し、衛生に係る技術的事項を管理させることになっています。要は安全管理者が安全をテリトリーにするのに対し、衛生をテリトリーにして手となり足となり動くのが衛生管理者です。

 

選任要件

衛生管理者に関しても他の登場人物同様に、選任すべき事業規模があります。しかし、総括安全衛生管理者と安全管理者と決定的に異なるのが、『すべての業種』に選任義務があるということです。敢えて表にする必要もないのですが、念のため。

 

 

ここは次項の産業医も同様なので一括にしましたが、業種問わず常時50人以上を使用する場合は、衛生管理者と産業医を選任する必要があります。これはニュアンスの話ですが、先ほどの安全衛生管理者とは異なり、“衛生”とか“労働者の健康”なんて問題は、事業場の危険性云々なんて関係ないものですよね。故にいかなる業種の事業場においても必要な役割なわけですね。

 

そして、衛生管理者と産業医については、事業規模に応じて選任すべき人数と、安全管理者同様に専任要件というのもあります。少しややこしくなってきましたが、要はこういう理解です。

 

だって、事業場の衛生や労働者の健康なんて問題は、先述した通り規模関係なく大切な問題であり、それ故に労働者の人数が増えれば管理監督すべき対象が増え、衛生管理者も当然それに応じて増員しないといけないわけです。このように考えると、何となく合点がいくと思います。さて、みていきましょう。

 

 

衛生管理者と産業医についての、選任人数及び専任の要件を判断する事業規模については、ゴーニーゴー、イチ、ニー、サン!って覚えてますww 完全に強引ですが、各行のミニマムの数字をこの覚え方で覚えて、50人の場合のみ「50人以上」という点に注意し、後は順に「200人超」、「500人超」、「1,000人超」、「2,000人超」、「3,000人超」と記憶しておきます。

 

また、ややこしポイントである「専任」については、表の読み取り方を解説します。

 

まず、業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場については、1人を専任としなければなりません。また、 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、有害業務(坑内労働または一定の有害な業務)に常時30人以上の労働者を従事させるものに関しても、1人を専任しないといけない、ということになります。

 

ちなみに、この有害業務には「深夜業務」は含まれていません

 

資格要件

こちらも安全管理者同様に専門的な知識や経験を要しますので、資格などが必要になります。具体的には、第一種・二種衛生管理者であったり、衛生工学衛生管理者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなどがそれに当たります。たまに見ますよね、衛生管理者って肩書。これのことです。

 

定期巡視

こちらは安全管理者の部分には出てきませんでした。勿論定期巡視は安全管理者にも必要ですが、これまた頻度についての規定がありません。そのため、安全管理者は“常に”という頻度だと理解できます。

 

一方、衛生管理者については週一回の定期巡視が義務づけられています。

 

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産業医

概要

産業医については言わずもがな、お医者さんですね。そして、基本的には医師の業務ではなく、労働者の健康管理等がそのメインの業務になります。その他の登場人物同様に、一定規模以上の事業場について、医師の資格を有したものから「産業医」を選任します。

 

選任要件

先述した通り、産業医の選任要件は衛生管理者同様に、業種問わず常時50人以上を使用する事業場になります。

続いて、選任人数と専属人数です。ここで注意が必要なのは、専属ですので、もはや会社に常駐しないといけないということですね。上場しているような大企業に属している方であれば常識かもしれませんが、次のように事業規模に応じてボーダーが設定されています。

 

 

こちらの表もすこしややこしいです。端的に話すと、常時1,000人以上を使用する事業場においては1人を専属させる必要があります。また、衛生管理者同様に、一定の有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場においても、専属が必要です。尚、3,000人以上を使用する事業場については2人以上を選任する必要もあります。

 

また、注意が必要なのが、ここでいう有害業務については「深夜業務」を含んでいます

 

資格要件

医師であって、次のいずれかの要件を備えた人を産業医として選任することができます。

 

① 厚生労働大臣の定める研修修了者

② 労働衛生コンサルタント試験合格者

③ 大学で同内容の指導経験があること

 

定期巡視

毎月1回の定期巡視が必要です。

 

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だいぶややこしいですね。僕もなかなか覚えられていない箇所ですが、ただ暗記するというよりかは、なぜこの要件が必要で、このくらいの人数を選任する必要があるのか等を意識することで、より理解として定着がはかれると思います。当然暗記しないといけない部分が大半なのですが、根拠も自分で仮説を立てると少し勉強が楽しくなるものです。

 

それでは、また。