減給の制裁、青天井ちゃいまっせ?

減給の制裁、青天井ちゃいまっせ?

どうもこんにちわ、INAZOOです。

 

最近では実に多くの方から「お詫び文書作成」のご依頼をいただいております。ありがとうございます!

 

お詫び文書、代行します。
1営業日程で作成しています。

 

私は常々「お詫び文書自体には意味がない」と主張しています。これはお詫び文書に対する持論です。

 

勿論、反省することに意味がないと言っているわけではありません。しかし、何よりも一番大切なのは、次の一歩を踏み出すこと、過ちを自身の糧や原体験とし、どうやって形勢逆転していくのか?それを考え、動くこと、

 

こっちの方がよっぽど重要です。

 

そのため、いなだが代わりに始末書や謝罪文を作りますよ?と思った次第です。僭越ながら、ご依頼主様からはお詫び文書の内容は然ることながら、原因分析や再発防止策の提示に大変満足いただいております。

 

しかし、過ちを犯してしまった場合、いなだが始末書を代行しても、それで済まない場合もあります。

 

それはいったい何か・・・

 

始末書+○○

 

このように、お詫び文書を書かないといけない状態をどのように切り抜けようとも、次の一歩が大切なわけですが、あなたが会社員であれば、始末書とは別の事でいきなり出鼻をくじかれるかもしれません。

 

それが、制裁です。一般的には懲戒と呼ばれます。

 

会社員として起こした過ちであれば、様々な制裁が用意されています。

 

労働者の重大な過失ともあれば、一発懲戒免職もありうるかと思いますが、軽微なものや刑事事件に至るようなものでなければ、譴責や減給で済むことがあると思います。

 

無論この譴責や減給の処分が下された際に、必要となるのが始末書です。あるいは、これらの処分は下されずとも始末書が必要になる、いずれかのパターンです。

 

かくいういなだも例の一件の際には、始末書+減給の制裁でした。

 

 

社畜時代
減給で済んだのが

奇跡なww

 

 

今回は「減給の制裁」についての解説です。

 

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減給の制裁とは

減給の制裁とは
物騒な言葉ですね、制裁て。

 

減給の制裁とは、読んで字の如く悪いことをした場合の制裁、具体的には減給をされてしまうことですね。

 

制裁というくらいですので、「お灸をすえる」ようなイメージがありますが、このお灸の度合いを自由に決めることができるわけではありません。

 

というのも、労働者が起こした事態に応じて、会社がその匙加減で減給額を上げ下げするようなことはできないのです。

 

 

社畜時代
あいつは、

前から嫌いだったから

80%カット~!的な?

 

 

いなだナウ
いやいや

それがダメなんだわ。

80%カットなんて言ってきたら

グーパンだな。グーパン。

 

 

もう少し厳密に言うと、減給を青天井ですることができないということです。

 

実際の根拠条文を見てみましょう。

 

労働基準法 91条 【制裁規定の制限】
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 

ちなみに、制裁について会社でそのルールを設ける場合、就業規則に記載しないといけません(相対的必要記載事項)。そのため、ご自身が在籍されている会社の就業規則には先ずもって制裁に関する規定が記されているはずです。チェケラしてみてください。

 

ポイントはどういった事案で減給が成されるのか。おそらく一般的な就業規則ですと、懲戒処分の箇所に記述があります。↓↓↓

 

懲戒処分の記述例
これ、当社の就業規則の一部抜粋です。

 

つまり、この画像に記載されている8つの事項に該当する場合は、譴責だの減給だの出勤停止だの処分が下る(始末書と併せて)ということになります。

 

尚、あくまでこれは就業規則ですので、その会社固有のものです。

 

では、先ほどの条文で太字にしている箇所「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」という規定と、「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」という表現をもう少しかみ砕いて見ていきます。

 

減給に際限ないの?

 

減給の制裁度合いを使用者が青天井で設定はできない、というのが結論ですが、いったいどの程度まで可能なのか?

 

その辺は条文をなぞらえながら解説していきます。

 

具体的には、先に記述した条文における、減給度合の上限について触れられている次の2箇所について解説を加えていきます。

 

一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない

 

まずは、次の方を例に考えてみましょう。

 

 

減給の制裁を食らうA君
うーん、屁理屈捏ねそう。

 

A君

<平均賃金> 
30万円

<やっちゃった内容>
何となくめんどくさくて、5日間仕事に行かなった。しかも無断で。

 

例がサッパリしてますね。そして顔が結構腹立つ。

 

A君の平均賃金を30万円と仮定します。ゆとり世代なんですかね、その上、何となくめんどくさくて5日間も無断欠勤をしでかします。

 

もうこのくらい度胸のある奴はもう少し育て方や働き方を考慮してやった方が、大物になりそうな気がしますが・・・そこは置いておいて、先の当社就業規則に照らしてみると、いわゆる「正当な理由なく無断欠勤が5日以上におよぶとき」に該当します。

 

けしからんっ!!と会社にいる稲盛和夫信者の老害経営陣が激オコするのが目に浮かびます。いや、まぁ普通に怒られるでしょうね。

 

但し、そこは八面六臂の桃色遊戯の達人ことA君。魔が差したといわんばかりの、若気の至り的なノリを主張し、涙ながらに心を入れ替える誓いを立てたおかげで、解雇は免れます。

 

ということで、このゆとり世代のエースことA君は始末書+減給の制裁を食らうわけです。

 

すみません、例示の背景が込み入ってしまいました。ここからが本題です。

 

一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない

 

月額の平均賃金が30万円ということは、日単位でいうと1日の平均賃金が1万円ということになります。そして、1回(減給事由に該当する事ごと)につき、その半額までが減給可能ということですので、

 

1日の無断欠勤につき、5千円の減給が可能ということです。

 

つまり、5日間の無断欠勤をしたA君は、5回の減給事由に該当したことになりますので、合計で2万5千円の減給を食らうという計算です。

 

結論として、A君は1カ月の給料から減給の制裁として、2万5千円を引かれるということですね。

 

顔が腹立つので、80%カットしたるッ!という気持ちはどうかお静めください。

 

総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない

 

先述した考え方で言うと、仮にA君がぶっちぎりで10日間の無断欠勤をしたとしましょう。

 

そうすると・・・

 

5千円(1日分の減給額)の10日分となると、5万円/月の減給・・・と計算することができます。こういった場合にもう一つの条文の箇所が活きてきます。

 

総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない

 

ここでいう減給額の総額は5万円ですが、この額が一賃金支払期(つまり、1ヶ月)における賃金総額(A君だと30万円)の10%を超えてはならないということです。

 

ということは、1ヶ月で減給できるのは、月の平均賃金が30万円のA君でいうと、MAX 3万円だということです。

 

スクールオブ俺
大人って

すげー守られてるのなww

 

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一賃金支払期の所得補償という考え

 

A君は無断で10日間もなんとなく休んでいるのに、所得補償ってなんや!?と思われるかもしれませんが、労働基準法は使用者と労働者の力の圧倒的アンバランスから労働者を守るための法律です。

 

そのため、いくら減給とはいえ、実際に働いた時間に応じて支払われる賃金を青天井で差し引くこができようものならば、場合によっては、減給の制裁に託けて不当に(賃金を支払わずに)労働者を使用しかねないということです。

 

過ちを犯した人をカイジばりに労働させてもいいのか!?という話ですね。それはわが国では許されていません。

 

要するに、減給の制裁とはいえ、賃金を支払われる分の労働をしたにも関わらず、生活ができない程の減給を食らわすのはあまりに酷だということです。

 

これでカイジもジリ貧で柿ピーと135mlのスーパードライに溺れなくて済むわけです。

 

こういった考え方を前提に、一賃金支払期における所得補償というものがなされています。

 

ノーワーク・ノーペイの原則

ノーワーク・ノーペイ
すみません、写真に意味はありません。

 

一賃金支払期の所得補償の説明をしましたが、ある一つの疑問が浮かんだ方もいらっしゃるでしょう。いや、当然の疑問です。

 

 

スクールオブ俺
無断欠勤したということは・・・

そもそも働いてねーじゃん!

 

そういうことですね、A君はいくら八面六臂の桃色遊戯の達人だとしても、5日間あるいは10日間サボってるわけなので、働いていないということは事実です。

 

そのため、いくら一賃金支払期の所得補償とはいえ、使用者は働いていない分の賃金までを支払う必要はありません。

 

これがいわゆるノーワーク・ノーペイの原則です。

 

例を元に考えてみると、10日間の無断欠勤をしたA君は10万円分の賃金は支払われないということです。つまり、実質働いた分として働いていない分の10万円を差し引いた20万円がその月の賃金として考えて構わないということです。これは減給ではない、ということです。

 

※ちなみに、この20万円を前提に先ほどの減給の上限額たる10分の1の計算も行います。

 

減給額の繰越

 

最後に補足ですが、「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」ということでA君の場合ですと、月3万円を上限として減給されるわけですが、10日間も無断欠勤したA君がその月だけで免れるはずがありません。

 

上限を超えた分の減給額は、翌月以降に繰り越すことができます。もちろん繰り越した減給額も一賃金支払期の10分の1が限度です。

 

つまり、数カ月に渡り10%分の減給を食らう、ということになります。

 

最後に

使用者の減給について
誠に遺憾です・・・的なね。

 

よくある間違いなのですが、ニュース等で、不祥事を起こした大企業の社長や役員の報酬を○○%カットといったような情報が流れることがありますが、これは全く違法ではありません。

 

というのも、社長や役員は労働者ではないからです。あくまで今回説明した減給の制裁の上限については、労働者に適用されるものであり、使用者は関係ない話です。

 

その辺の違いはまた別の記事で紹介します。時間があれば。

 

それでは、また。